医院ブログ

FELIZDENTAL

2019.04.24更新

アメリカ・カリフォルニア州に住む11歳の子供が、歯磨き粉が原因で死亡した可能性があるとアメリカメディアが伝えました。

 

アメリカの患者向け情報誌「アラージック・リビング」によると、この子供は歯科医に処方された歯磨き粉を4日に使用した後、意識を失って2日後に死亡したそうです。実はこの子には重度の食物アレルギーがあり、両親は食事にはかなり注意をしていたのですが、処方された歯磨き粉の中に乳製品由来のたんぱく質が含まれていることには気づかず使用してしまったとのことでした。

この歯磨き粉は市販されておらず、歯科医の処方だったということもあり、CNNは専門家の話として一般的には起こりにくい極めてまれなケースだと指摘しています。

 

では、日本でも同様のことが起こるのでしょうか?

 

起こる可能性はゼロではありません。

 

先にお話しておきますと、これから挙げる商品は決して危険なものではありません。エビデンスに基づいた安心・安全な製品です。

日本で可能性があるとすると、歯科医院でしか購入できないのですが、GC社のMIペーストという歯磨き後に歯面に塗布する製品で同様のことが起こる可能性があります。

 

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GC社 ホームページより

 

この製品にはCPP-ACPという牛乳由来の成分が含まれています。リカルデントというガムのCMで聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。メルボルン大学の研究では、お口の中の酸を中和しやすくし、リンやカルシウムといったミネラルを歯の中に取り込みやすくする働きがあるといわれています。市販の歯磨き粉に含まれるフッ素と併用することで、さらに歯の強化に効果があるそうです。

 

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リカルデントガム 日本歯科医師会推奨なんですね。

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CPP-ACP入ってます。

 

こんな素晴らしい成分なのですが、注意点が一つあります。牛乳アレルギーのある方は、絶対使用してはいけません。CPP-ACPは牛乳由来成分です。MIペーストの使用説明にもしっかり明記されています。蜂に刺されたときに起こる、アナフィラキシーショックの可能性があり、場合によっては死亡することもあります。

 

MIペーストを使っている方は、そのまま使い続けていただいて全く問題ありません!きっと購入時に歯科医師から「牛乳アレルギー、ありませんか?」と聞かれているはずです。アレルギーが無い人には、とってもいい製品ですので安心してください。

 

片木歯科医院で購入できるか、と言いますと、できません・・・

昔、販売を検討したことはあったのですが、やはり上記の理由でやめてしまいました。アレルギーに気付いていないという可能性もありますからね。

 

ちなみに市販の歯磨き粉で命を落とすことはありませんので安心してください。

今回はちょっと怖い内容でした。

 

「予防に勝る治療なし」

 

院長

 

 

投稿者: 片木歯科医院

2019.04.04更新

少し前の内容になりますが、2016年に歯科界で驚くような情報が流れました。

 

デンタルフロスには虫歯、歯周病の予防効果がない!?

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初めて聞いたときは私も驚きました。しかし、この内容を詳しく調べると・・・

 

アメリカのAP通信がデンタルフロスの効果について調べたところ、その効果を裏付ける十分なエビデンスはないということを発表しました(エビデンスとは?解説はこちら)。過去の研究25件を再度詳しく調べたところ、そのデータからは虫歯・歯周病予防効果を実証するのは難しいとのことでした。フロスの使用法が正しく理解されていなかったことも原因にあるようです。

 

では本当にデンタルフロスは虫歯・歯周病予防に効果がないのでしょうか?

 

そんなことはないと思います。私たち歯科医師がフロスを患者さんに薦め、患者さんもフロスの効果を実感しています。アメリカ合衆国の政府も長年にわたってフロスの使用を推奨していました(今回の件でフロスについての記述を削除しました)。おそらくフロスの虫歯・歯周病予防効果はあまりにも当たり前すぎて、科学的、疫学的に研究されてこなかったのではないでしょうか。AP通信でも、フロス全否定ではなく、効果を証明する疫学的根拠が低いだけと言っています。

 

今後、使用法が統一されたうえでの調査が進み、研究論文が増えていけば、デンタルフロスの虫歯・歯周病予防効果は証明されていくでしょう。

フロスを通すと歯と歯の間がスッキリきれいになっているのは実感できますもんね。

(デンタルフロスの使用法はこちらのページ下のリンクを参考にしていただければと思います。)

 

「予防に勝る治療なし」

 

院長

投稿者: 片木歯科医院