「Scientific Reports」電子版に掲載された東北大学大学院歯学研究科の研究グループの研究によると、入れ歯の清掃頻度が過去1年間の肺炎発症と関連することがわかりました。
肺炎は高齢者の死因の上位を占めています。よく名前を聞くのが、嚥下機能や免疫機能が低下した高齢者の肺に飲食物や唾液が入り感染を起こす、誤嚥性肺炎ですね。また、高齢者は、歯の喪失により入れ歯を使用していることが多く、その表面に付着した細菌の塊を肺へ入れてしまい肺炎を起こすこともよく知られています。今回、入れ歯の清掃頻度と肺炎の関係を調べたのがこの研究です。
調査は、要介護認定を受けていない65歳以上の方で入れ歯を使用している7万1227人を対象に、入れ歯の清掃頻度と過去1年間の肺炎発症の有無の関連が調べられました。すると、入れ歯を毎日清掃する人と比べ、清掃が毎日ではない人は肺炎発症のリスクが1.30倍高く、75歳以上に限定すると1.58倍高くなるということが示されました。
この研究から、肺炎予防には入れ歯を毎日清掃するほうが良いということがわかりました。またこの研究の対象者は要介護認定を受けていない、割と元気な方でも肺炎になるリスクが高くなるということです。入れ歯を使っている方皆さんに関係するということですね。
じゃあ、毎日どんな掃除をすればいいの?ということですが、①~③の順番でやると効果的です。
①歯磨き粉のついていない歯ブラシで入れ歯を磨くことです。歯磨き粉、ダメですよー!歯磨き粉の中の研磨剤によって表面に傷がつき、カビや細菌が繁殖してしまいます。ますます汚くなってしまうんです・・・
②義歯洗浄剤を使用する。寝ている間に洗浄剤で洗う方法です。よくCMでも見ますよね。薬局での品ぞろえも凄いです。
③入れ歯の表面をコーティングする方法です。イメージとしては、洗車した後のワックスコーティングみたいなものでしょうか。最近はこんな製品もあって、上記のものと同じく矯正装置やマウスピースの抗菌コーティングができます。
イータック オーラルケア(エーザイ) 2,200円(税込み)
朝に入れ歯の表と裏にスプレーをシュッと一吹きするだけ。とっても簡単です!ただし①②をやってからでないと効果はありません。当院でも販売しておりますので、気になる方はご相談ください。薬局には売っていない、歯科専売品です。
あとは、歯科医院での定期的なお掃除がやっぱり大切です! ご自身の歯でも、入れ歯でも、気になることがありましたらいつでもご相談ください。
「予防に勝る治療なし」
院長